Bonjour !
パリの店主が書いている蓋上の「注意書き」があるのですが見えますか。”ハチミツの試食は店主に声をかけてください”というメッセージです。ご試食時に使用されたスプーンを誤って他のハチミツ瓶にそのまま入れてしまわないようにお願いしています。

1999年頃のに店を訪れた方の中には、ムスッとしていた店主(シャクマンデス氏)に緊張して不快な思いをされたこともあったのではないかと思います。当時の店主は愛想なく、旅行者を警戒しながら見ていました。

その後、何度も通って色々と話すことができる様になってからのことですが、ある日、勇気をだしてシャックに話してみました。
Izumi : ”初めてお店に入ったときは、怖くて話しかけられなかった”
Schak : なぜ?
Izumi : 店内は静かだし、フランス語では挨拶するのも恥ずかしいくらいだった。それに、なんだか怒っているみたいで怖かった。どうしようかと緊張したから。
と当時のことを伝えたことがありました。すると、そうだったのかと納得した表情を浮かべて ”気を悪くしないで欲しいが分からないことがある” と相談を受けました。

「実は、観光で来る人の試食のことで困っている」「勝手に触って、食べて、違うハチミツに使ったスプーンを入れられてしまったり、違う蓋で閉められていたりする。間違えられるとハチミツが使えなくなってしまう」という。
”あ~、なるほど。だから、私のことも警戒して見ていたんだ”と無愛想だった理由もわかりました。
そして、シャックから ”もうひとつある”と質問が続きました。
「なんで、お店に黙って入ってきて、黙って出ていくんだ?」「気持ちが悪い」「それに、黙って入って来られると気づけないときがあって、気が付いたらもう瓶に触ってしまっている」「黙って店のものに触って、試食までして何も言わずに出ていくのはなぜなのか、理解ができない」という。
確かに日本は、店に入るだけなら店員さんに「こんにちは」と言わないことが殆ど。レジの人に”こんにちは”と挨拶はしないのことが多い。だけど、フランスは違う。
なんで挨拶をしないとかと言われて、確かに。。。日本ではしない。悪気はないけれど習慣に違いがある。日本で普通のことをフランスで同じようにすると「気持ち悪い」と見えてしまう事があるということを知りました。

私は、シャックが心を開いて質問してくれたおかげで、無愛想だった理由もわかり、習慣の違いにも気づけました。だけど辞書には書いてない。
ちょっとしたことですが、フランス語がペラペラ話せたとしても、フランス語の本が辞書を引いて訳せたりしても、その国の文化や習慣を知らずにいると、それはただの「訳:言語変換」をしただけで、本当の上での「理解ではない」と知らされました。

フランスは本当によく挨拶をします。
エレベータで一緒になっただけでもBonjour !
会話は、まず挨拶から始まります。
フランスの「Bonjour !」は大事な一声。
キオスク、パン屋、レジ、エレベーターで一緒になるだけでも。
この体験をした後、
私がアテンドをさせて頂くお客様に「Bonjour の挨拶」をお願いする事にしました。偉い社長さんでも、発音が~と気にされる方がいても、「フランスの習慣だから、日本語でもいいから、とにかく一声の挨拶を!」と。そして、特に個人行動の時間にも「必ず挨拶をしながら行動して下さい」と話してきました。
店内に入ったら、まずは Bonjour ! 発音は上手くなくてもいい。とにかく「挨拶」の言葉をかけるということ。そして、ハチミツ試食をしたい時はジェスチャーでもいいから店主にお願いする。帰り際に「ありがとう Merci メルシー」が言えたら完璧。
それが出来て初めて、お店に入る側の最低限のマナーができているということ。

”お店には「入るだけ」でも、まず「Bonjourボンジュール」と挨拶をしましょう!”
この一言があるだけで違います。挨拶を大事にする習慣はとてもいい。パリでも東京でも同じように大事にしたい「挨拶」 Bonjour !から始める会話。
*互いの習慣の違いを分かったことでシャックとの関係はより友好になり、日本のことも理解してくれたことで、気持ちよく接することができるようになりました。
Bon journee a tous !
